3月8日は国際女性デーです。4月に予定していたグループ展が秋以降に延期になり、少し時間に余裕ができたので、ここ数日Netflixで映画やドラマを何本か観ました。そこで気がついたのですが、サスペンス、アクション、ヒューマンドラマ、親子関係、学園もの、恋愛もの、コメディーに至るまで、何を観ても事件が起こる時、必ず女性(最近では子供であることも多い)が暴行を受けることから始まるストーリーばかりだったということです。女性が一人でいると襲われる。犯罪者は必ず大勢の人の中から女性を選んでからかったり恐怖を与えたり、暴行をしたり。その映画が結果的に伝えたいことが愛だろうが友情だろうが、その前に女性が暴行を受けることが当たり前って何だろう?と考えてしまいました。私はそういうシーンを観るのが辛いです。演技だろうと、そんな目に遭っている人間を想像するだけで恐怖でいっぱいになります。映画監督が何かを訴えようと映画を構想する時、女性がいて、暴行を受けたり監禁されたりする物語を当たり前に作ろうと思うって何なんだろう?私は、そういう映画を選んで観ているわけではないのに、数日でほぼ全ての映画にそういうシーンがありました。異常だと思わない?しかも、人気の作品にこんなシーンが当たり前にあったら、女性ってこうされる存在ですって認知されてしまいそうで怖いです。(付け加えると、何かって気に入らないことがあると、怒鳴ったり、暴れたり、相手を殴っている男性が当たり前なのも全然おかしいと思うけど)これが今、女性(子供)が置かれている現状です。こういう暴力に怯えながら、尚且つ「美しく、優しく、若く、全てを受け入れ、反発せず、意見を言わず、口答えせず、面倒な作業は全部やる」ことを要求されているのです。
女性が存在していたら、暴行していいわけがありません。暴行された女性は時が経てば忘れるわけではありません。私は小学生の時受けた痴漢行為が未だに忘れられず、時々苦しくなります。世界中に一人でもそんな恐怖を受ける人間がいてはいけないのです。少し前の国際女性デーは、男性から花束をもらえる日、女性が大事にしてもらえる日。なんていう知識しかないこともありましたが、今、やっと女性の置かれた立場の劣悪さを平等に戻そうと訴えているのを目にできるようになりました。女性をマイナス80点にしていた大学なんてまともな人間ができることですか?
かつて大学卒業直後に入社した企業で、私は毎日男性が出勤してくるタイミングで一人一人にお茶を入れていました。出社してくる時間がバラバラでも一人一人席に座ったら即お茶を入れなければなりません。お茶の葉も毎回新しくしてです。朝は30分早く出社して全員の机を拭き掃除して、タバコの吸殻でいっぱいの灰皿を回収して洗っていました。男性社員が終業後に飲むビールやおつまみを買い出しして、翌朝その宴会の残骸を片付けていました。私はタバコは吸わず、宴会にも出ていません。これは女性だけの仕事です。これが普通だと思いますか?差別なんてないと本気で思ってる?自分が吸った吸い殻を同僚に洗わせて平気な人ってどういう気持ちなの?(これはご家庭でも同じだと思う)
こうやって少しづつ絶望感と納得いかない気持ちを持ちながら、お酒の席ではお酌をさせられながら、チークダンスを踊らされながら、夜道で怯えながら、昼間でも卑猥な言葉を投げかけられながら歩き、無視するとブスと言われ、容姿について何点だと声に出して言われ生きてきました。
先日、テイラー・スウィフトのNetflixのドキュメンタリーを観て、彼女は周りから「政治には口を出すな、意見を言うな、微笑んでろ」と言われてきたのだけれど、ものすごい葛藤をしながら、反対されながらも「女性の望まない妊娠からの中絶の権利」に反対する保守候補者を支持しないと表明する決心をします。保守的な住人の多いナッシュビルが故郷であるテイラーにとってはこの表明は勇気がいる事なのです。黙って微笑むアイドルから自分の意見を発信するのだと生き方をチェンジする場面があるのです。さらに、常に自分の体型についてあれこれ言われ「お腹が出ているから妊娠した」と言われたことに傷つき、摂食障害だったことも告白しています。私はこのドキュメンタリーにとても共感しました。自分の意見を表明する事、きちんと食べてステージがこなせる体型でいる事を恥じない、そう決めてからの彼女はますます輝いて、自分を認めてくれる恋人が側にいて本当に幸せそうでした。その彼女が発表した新作「The Man」がすごい。私が今日書いているようなことをそっくり表現した内容です。観てみて!
私が中年になっても、若い頃から感じていたこの現実はまだ変わっていません。もし愛する人がこの現実に気がついていなかったり、ましてやそれを良しとする考えの人だったら私は耐えられません。私は、こんな当たり前が当たり前じゃなくなる日を絶対に諦めません。そして、被害に遭ってしまった女性や子供が少しでも苦しい日々から解放される時間が増えるように。そのために何ができるか考え行動します。テイラーもやってくれた。私も頑張ろう!