「シェエラザード」フランス/2018年 監督:ジャン=ベルナール・マルラン
アンスティチュ・フランセ東京での「ベスト・オブ2018 〜新世代の監督たち〜 」特集を観に行った。これが長編映画第1作にして2019セザール賞トリプル受賞のこの作品。全く予備知識なし。マルセイユの北部で刑務所から出所したばかりの17歳がポン引きとなって暮らすお話。上映前にこの映画の企画者の舞台挨拶があったのだが、そのお話の中でも、特に映画の出演者達が話すフランス語について注目されるとおっしゃっていたが、フランス語が分かる人でもこれは理解できないと思われるくらいスラングが多いフランス語が飛び交い、華やかさもカッコよさもマイナスくらい暗くて汚れていて売春や暴力といったキツイ状況が延々と続くのだ。もう90%くらいはそんな感じなのだが、最後の最後に…もうなんか、主人公の愛が深すぎて勝手に涙ダダ漏れで驚いた。映画が始まった時は、ダサいし幼稚だし、全然素敵じゃなかった主人公が、この世で1番ハンサムに見えた。監督がこの映画のキャスティングにマルセイユの街を何ヶ月も探し、少年施設を回ってスカウトした役者達。主人公も演技は初めて。顔の筋肉を引攣らせ語るシーンも最後の顔も、あああ忘れられなくなってしまった。最後まで観ないと絶対分からない素晴らしさがあった。驚きだ。フランス映画ありがとう!
写真はHPより。 本当は、別の映画を観るつもりで日にちを間違って出かけて行って、時間が合うから観ただけなのだけど、結果記憶に残る映画となってしまった。舞台挨拶の通訳さんが素晴らしかったこともぜひ言いたい。