グッバイ・ファーストラブ その1

un amour de jeunesse

久しぶり忘れたくないフランス映画を観ました♡

『グッバイ・ファーストラブ』(UN AMOUR DE JEUNESSE)2011
監督:ミア・ハンセン=ラブ

アンスティチュ・フランセ東京で開催中のWEEKEND CINEMA Vol.1 French Female New Wave特集の3本の内の一本。そんなに期待していなかったけれど、観終わった今でもこの映画の事が頭から離れない感じ。。。

それではネタバレ満載で書かせていただきまーす。

15歳の初恋。彼が人生の全てと思っているカミーユと、彼女を愛してるけど全てじゃない、本当の自分探しもしたいシュリヴァン。ちょっとだけ気持ちにずれがある若い二人が最後にどうなるかなんて当たり前のお話。のような気がするけれど、二人が過ごす夏の日や、冬のパリ。コンドームを買う男の子。ベッドで待ってる天使のような女の子。南米行きの切符を買う(もう行く事に決めてる)一方でカミーユに帽子を買ってあげる(この帽子も映画のミソ)。歩いてる二人。その普通の全てが愛おしい。

ちょっと退屈になりそうな日常が描かれているけれど、きっと誰もがこうやって過ごして来た宝物のあの日を思い出す。だんだんと、自分を観ているような気がしてくるのです。不思議な映画です。

本当に水のように美しいカミーユ役の女の子。でも意外と良いのがシュリヴァン役の彼です。不思議と頼りたくなるような安心してしまうような男っぽいところがあるのがフランス映画の男の子っぽくないなーと思っていたら、実は、ベルリン出身でフランス人ではないようです。それに、彼の生年月日は1985年生まれのようだから、映画制作時は25歳くらい?全然高校生より大人っぽい。だから柔な感じがなくて二人の関係を引き締めてる所があるかも。シュリヴァン役の彼までが幼かったらちょっと付いて行けない気もしました。とにかく、シュリヴァン役の雰囲気はとても好きで、私個人的な好みなのかよく分からないけど、彼を好きになってしまうカミーユの気持ちが良ーく分かるんだなー。とにかく、カミーユの、彼がドラッグや女の子目当てのパーティを優先してしまう「私と会わない週末ね。。」って台詞を言う気持ちもよく分かるし、男子の友達優先も分からなくない。。これは永遠の男女の気持ちの違いですよね、ははは。

映画の二人は、南米に旅立ったシュリヴァンから手紙が途絶え始め、結局別れようと書いてある手紙を最後に別れてしまいます。その後、カミーユ自殺未遂、大学生になって年上の建築家との恋。色々あって大人になって案の定!カミーユはシュリヴァンと再会しちゃうんだなー。当然、あの頃の自分の全てだったシュリヴァンとの愛が今の彼より素敵に感じるのは当たり前。関係を再会してしまうカミーユ。

でも、それは、あの頃の恋を巻き戻し再生してるだけ。現実には、彼に全てを捧げてはいないのです。生活は、今の恋人との関係の上に成り立ってしまっている。シュリヴァンもまた、この関係が永遠に続かない事が分かっている。(ベッドでないたりしてるシュリヴァンかわええ♡)それで、またもや!シュリヴァン君は、手紙で「別れよう」って言って別れちゃうんです。

あああ、シュリヴァン君ってダメダメ君ですねー。お別れするなら会ってお別れしてください。自然消滅も手紙も駄目でしょ!と私が思うのは置いておいて、今度のカミーユは自殺なんてしない。もう大人になってるんです。

とても現実をよく捉えてる。情けない所やずるい所、どうにもならない心の衝動。何だか本当に自分の映画を観てるみたい。。。

とんでもない所で泣いちゃったりしました。とても心に残ってるこの気持ち。DVD買おうかな?と思います。シュリヴァン君が自転車でパリを走ってる冒頭シーンが良いんですよー。お気に入り映画決定です。

シュリヴァンがバイトをしてる美しくないパリや、建築が好きなカミーユの設定で、ル・コルビュジエやBAUHAUSEやコペンハーゲンなど私の好きな建築家や場所が出てくるのも良いのです。そうそう、あまり細かい事にこだわらない監督なのか、数年経過する設定なのに、主役の二人がまーーーったく容姿の変化がない!って所は変なメイクするよりはかえって良かった気もします。

監督のミア・ハンセン=ラブのインタビュー記事見つけましたのでリンク貼っておきます。OUTSIDE IN TOKYO ミア・ハンセン=ラブ『グッバイ・ファーストラブ』インタビュー

この映画の他にジュリー・デルピー監督『スカイラブ』も鑑賞。その後、ミュージシャン猫沢エミさんのトークショーも聞きました。スカイラブもとっても面白くてまたまたみんなが泣いてないようなシーンで泣いてた私。涙もろいんだろうか?

これがトークショーの写真。猫沢ファンの私感無量。

nekozawaemi

思いがけず、お気に入りの映画に出会えた日っていい気持ち。素敵フレンチ映画の日でした!